単独鉤歯での維持力確保
こんにちは、自費義歯専門歯科技工所ルーファスデンタルの早澤です。
今日は、義歯製作における「単独鉤歯での維持力確保」についてお話ししようと思います。
把持ポイント
先日のブログ「紙コップと維持力」でお話ししたことを、ルーファスデンタルではどのようにして実際の義歯製作に応用しているかを紹介します。
まず、紙コップを数本の指で持ち上げる場合、図のように指を適切な位置に配置することが必要となります。
これを「紙コップ = 鉤歯」、「指 = 把持ポイント」にすると、「紙コップをつかんで持ち上げる」と「鉤歯を把持して維持力を出す」を同じように考えることができます。
単独鉤歯の抱え込み
それでは、単独鉤歯で維持力を確保するための条件を見ていきます。
緑の点はサベイライン上の把持ポイント、黒の点は維持部の把持ポイントです。
画像の点部分は把持ポイントとしてクラスプ内面を歯面に接触させる必要がありますが、その他の部分に関しては接触していても良いし、接触させなくても良いので、審美性を考慮してクラスプ上腕の位置を下げたり、歯冠形態の都合で使えない部分を避けるなど、把持ポイントの配置を入れ換えるることでクラスプの設計が自由になります。
4点固定
4点を使ってしっかりと固定します。安定感のある維持力が確保できます。
3点固定 タイプⅠ
3点を適切に配置することで、4点固定と同様の維持力が得られます。
3点固定 タイプⅡ
例えば、審美性を優先して「クラスプ頬側上腕部の位置をを下げる」と指示があった場合、このような配置にすることで頬側上腕部の把持ポイントが必要なくなります。
今日は、義歯製作における「単独鉤歯での維持力確保」についてお話ししてみました。
図のように、円の半径の中にポイントが収まってしまわないように注意して必要なポイントを配置できれば、その他の部分については自由に設計ができます。
ルーファスデンタルのクラスプ設計では、クラスプ内面を歯面に「当てなくてはいけないポイント」、「当てても当てなくても、どちらでも良いポイント」、「当ててはいけないポイント」があります。
「今回のクラスプは良い維持力だった」というときは、今日紹介したような条件に自然と当てはまっていると思います。
次回は、「義歯全体での維持力確保」についてお話ししようと思います。