着脱方向決定のルール

 こんにちは、自費義歯専門歯科技工所ルーファスデンタルの早澤です。
 今日はルーファスデンタルでの「着脱方向決定のルール」を紹介します。

維持力を確保するための着脱方向

 一般的に着脱方向はその言葉通り「義歯を着脱するための方向」と捉えられることが多いと思いますが、ルーファスデンタルでは維持力を確保することを目的とした模型の基本方向として捉えています。
 その理由は義歯の着脱させたい方向を優先してしまうと、鉤歯の配置や形態によって維持力を確保できない可能性が高くなるからです。
 維持力を確保するためには、これまでのブログでも紹介したような、いくつかの条件がそろうことが必要です。
 ルーファスデンタルの設計では、この維持力確保の条件がすべてそろったときに着脱方向が決定します。

設計プランを考える

 今回はホームページトップに掲載している動画ケースを例にして設計の考え方を紹介します。
 右上4番に近心からエーカースクラスプと5番に遠心からエーカースクラスプを、左上3番に遠心からエーカースクラスプで審美性を考慮して可能な限り頬側上腕部を下げることにします。

鉤歯群

 右上4番と5番、左上3番を鉤歯群として1つの円にまとめます。
 維持力を得るためには、この円の適切なポイントを囲い込むことが必要です。

把持ポイント

 鉤歯群を囲むようにサベイライン上もしくは維持部となる部分に把持ポイントを配置しますが、どのような義歯を製作するか目的によってさまざまなパターンが考えられます。
 ルーファスデンタルでは鉤歯群の各鉤歯に1〜2点を配置しています。把持ポイントが多くなりすぎないことにも注意します。
 

設計プラン

 把持ポイントが決まると維持力を確保できる状態になっているので、その把持ポイントをベースにして義歯全体での維持装置の設計プランを考えます。
 緑線がサベイライン、黒線がクラスプライン、赤線がテーパーラインの位置です。
 

診査・設計

模型診査

 角度設計で使用するコノメーター は0度から14度まで角度を変更できるため、設計線を引き始める前にすべての把持ポイントやクラスプラインを診査します。
 今回のケースでは左上3番の審美性を考慮する指示があるため、最初に理想的なクラスプラインを確認しながら、他の把持ポイントとのバランスを取ります。
 設計プラン通りに把持ポイントとクラスプラインが確保できたときに着脱方向(基本方向)が決まります。

設計線の記入

 着脱方向が決定したら緑でサベイライン、黒でクラスプライン、赤でテーパーラインを記入します。


 今日はルーファスデンタルでの「着脱方向決定のルール」を紹介しました。
 設計方法をルール化することで、仕上がり具合の予測ができるようになったり、調整ポイントが明確になります。
 
 次回もまたよろしくお願いします。 

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