維持力確保のための2つの方向性
こんにちは、自費義歯専門歯科技工所ルーファスデンタルの早澤です。
今日は義歯の維持力を確保するうえで意識している2つの方向性ついてお話ししようと思います。
維持力のしくみ
ルーファスデンタルでは、義歯設計の着脱方向に対する「垂直維持力」と、欠損部方向に対する「水平維持力」の両方が成立したときに義歯全体での維持力が確保できると考えています。
また、下の図に示すように維持部の度数が大きくなるほど円を囲い込む範囲が広くなるため、仮に同じ弾力のリングをはめて引っ張り上げるときに、囲い込む範囲が広い(度数が大きい)ほど大きな力が必要になることがイメージできると思います。これが設計度数の違いによる維持力の差です。
※図の度数を示すラインは、表現のため2倍の度数で作図しています
垂直維持力
垂直維持力は一般的によく用いられる、義歯の着脱方向を基準とした維持力です。
維持部の設計度数の大小によって維持力の強弱に大きな影響があるため、クラスプの形状や材質にも考慮した設計が必要になります。
水平維持力
ルーファスデンタルでは欠損部(水平)方向に対して義歯が離脱抵抗する力を「水平維持力」と呼び、把持ポイントの配置基準にしています。
水平維持力は垂直維持力と違い、その方向に義歯を着脱することがないため、把持ポイントの囲い込みすぎを心配する必要はありません。
逆に囲い込みが少ない場合は、クラスプの弾力によって水平維持力を持続させることが難しくなることもあり、歯列や歯面の状況が水平維持力の強弱に大きく影響します。
今日は義歯の維持力を確保する上で意識している2つの方向性ついてお話ししました。
2つの維持力のどちらにも共通することですが、対象となる単独鉤歯や鉤歯群がどのような形状であっても、その半径の中に把持ポイントが集まってしまうと、図の青い矢印のように抜けてしまい維持力を確保することができません。
垂直維持力と水平維持力の両方が成立したときに初めて義歯全体で立体的な維持力が発生するので、特に水平維持力には注意して観察しています。
ルーファスデンタルでは角度計を用いた維持装置の製作実習会を開催しています。
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