鉤歯群の役割配分を工夫した症例

 

 こんにちは、自費義歯専門歯科技工所ルーファスデンタルの早澤です。
 今日は「鉤歯群の役割配分を工夫した症例」の設計プランを紹介します。

診査

 今回は正中を含む前方(前歯)遊離端欠損の症例で以下の注意点があったため、各鉤歯にそれぞれ違った役割を設定しました。

  • 左4番と右5番の鉤歯形状から十分な角度設定ができない
  • 左6番頬側面の方向性から水平維持力が弱くなることが推測される


鉤歯群

 2つの注意点により、4本の鉤歯を鉤歯群にする内側性把持では義歯全体での安定した維持力確保に不安があるため、右3番と左6番と2本の鉤歯群でメインとなる維持力を確保することにしました。


把持ポイント

 右3番頬側面に対して左6番頬側面がやや近心を向いていて、両頬側面のみの把持ポイントでは内側性把持を得られないため、左6番単独鉤歯の維持力確保と、それに向かい合う右3番頬側面に把持ポイントを配置して内側性把持を成立させました。
 また、左4番と右5番にはメインの維持力に対して間接的な維持力を求めました。

※内側性把持を成立させるためには、それぞれの面が向かい合っている必要があります。


設計プラン

 把持ポイントをベースに、さらに以下の条件も考慮して義歯全体での維持装置の設計プランを考えます。
 緑線がサベイライン、黒線がクラスプライン、赤線がテーパーラインの位置です。

  • 右3番の審美性を考慮したクラスプライン
  • 右1、2間のブロックアウト領域が人工歯形態を損なわない範囲に収める

設計線

 右3番の頬側クラスプの位置が審美性を損なわないように考慮することと、この義歯の維持力を確保するために最も重要となる左6番の単独鉤歯固定がバランスよく両立するような設計線を記入します。


 今日は維持力確保のために「鉤歯群の役割配分を工夫した症例」の設計プランを紹介しました。
 ルーファスデンタルでは、さまざまな条件(技工指示)に合わせて把持ポイントの配置を組み替えることで、最適な着脱感を得られる義歯製作をしています。
 「維持力が無いかも」や「クラスプの位置をもっと下げたい」など、通常では対応が難しそうな義歯ほどルーファスデンタルの「 プレミアム / プレミアムスタンダード」をお試しください。


 ルーファスデンタルでは角度計を用いた維持装置の製作実習会を開催しています。


 「用語集」をサイトマップからご覧いただけます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です