遊離端欠損と残存歯列の関係性
こんにちは、自費義歯専門歯科技工所ルーファスデンタルの早澤です。
ルーファスデンタルでは前方遊離端欠損と後方遊離端欠損で維持力を確保する方法に違いがあると考えています。
前方遊離端欠損と後方遊離端欠損
ルーファスデンタルでは遊離端欠損を、残存歯列よりも前方に欠損があって、正中を含んだ「前方遊離端欠損」と、残存歯列よりも後方に欠損がある「後方遊離端欠損」に分類しています。
この2つの遊離端欠損(後方は両側性欠損)に左右2本の直接維持装置をかけた場合、維持力を確保する方法にはそれぞれ違いがあります。
※正中を含んだ前方遊離端欠損でも2、3歯の欠損では中間欠損として捉えています。
前方遊離端欠損
前方遊離端欠損では欠損部(点線部)に対して残存歯列の方向は外側に広がっていきます。
後方遊離端欠損
後方遊離端欠損では欠損部に対して残存歯列の方向は内側に向かっていきます。
鉤歯群の抱え込み
補綴側と鉤尖部に把持ポイントを配置した場合の鉤歯群の抱え込み状態です。
前方遊離端欠損での対応
前方遊離端欠損では拮抗状態を確保するために外側性把持を併用して対応します。
前方・後方遊離端欠損では欠損部に対する残存歯列の方向から、維持力を確保する方法にもに大きな違いがあります。
後方遊離端欠損は左右の把持ポイントが向かい合うことにより、鉤歯群を安定的に抱え込むことが可能ですが、前方遊離端欠損では左右の把持ポイントの向かい合い方が弱く、安定的に鉤歯群を抱え込むことが難しくなります。
このことから、ルーファスデンタルでは後方遊離端欠損の水平維持力は強く、前方遊離端欠損の水平維持力は弱くなりがちになると考えています。
その弱くなりがちな前方遊離端欠損に対応するために、外側性把持を併用するなど、把持ポイントの配置を工夫することで拮抗状態をつくり維持力を確保しています。
今日は前方遊離端欠損と後方遊離端欠損で維持力を確保する方法の違いについて、それぞれの欠損部と残存歯列の方向から考えてみました。
左右のクラスプ2本というシンプルなケースですが、よく模型を診査することで最大限の維持力を確保して、予備のクラスプで残存歯にダメージを与えることが少なくなると思います。
ルーファスデンタルでは角度計を用いた維持装置の製作実習会を開催しています。
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