「サベイライン上」ってどんな上?

今日は、ルーファスデンタルがサベイラインをどのように見ているかをお話しします。

サベイラインをどこから見ているか?

 義歯を作っていて、「サベイライン上」という言葉をよく聞くと思いますが、「サベイライン上」の「上」ってどこから見て上なのかって考えたことありませんか?

 私も3年くらい前までは、普通に最大豊隆部よりも上の領域全体を「サベイライン上」と考えていました。
 なので、「拮抗腕はサベイライン上に」、と何も考えずにそのサベイライン上に拮抗腕を設置していました。

 しかし、それは大きな間違いだったということに気がつきました。

「サベイライン上」を考える

 先日のブログでお話しした、「角度設計」を例にして考えてみます。
 おそらく、深く考えなくても「そりゃそうでしょ」って思えるくらい簡単な理屈です。
 分かりやすいように、歯冠断面を円で表しています。
 お箸で円をつまんでいると想像してみるとイメージしやすいかも知れません。


 円の右側(舌側)の線は、着脱方向に対して「0度」で引かれた通常のサベイラインの位置(緑点)です。
 円の左側(頬側)の線は、着脱方向に対して「−12度」で引かれたサベイラインのようなもので、クラスプラインの位置(黒点)です。
 左右の線がこの関係性にあるとき、12度分の維持力が最大に発揮されている状態にあります。

 舌側の線が最大豊隆部よりも上の領域をテーパーラインとなって「+12度」の位置(赤点)まで度数を増やしながら移動します。
 例えば、ルーファスデンタルが設計でよく使う「+4度」だと、クラスプラインが「−12度」であっても、維持力は8度分に減少します。
 テーパーラインが「+12度」の位置まで維持力を減らしながら移動していき、左右の線が平行になったところで維持力は無くなります。

 テーパーラインが「+12度」を越えてしまうと、どこに設置しても同じく維持力を得ることはできません。
 お箸で円をつまんでも、下に落ちてしまいます。

 サベイライン上を最大豊隆部よりも上の領域と捉えて適当な位置に拮抗腕を設置してしまうと、頬側で設定した度数分の維持力を確保することができません。
 維持力の確保には維持部の設計に集中してしまいがちですが、むしろ拮抗部の設計が重要と考えています。
 ルーファスデンタルでは設計意図に応じて、テーパーラインの度数を使い分けています。

ルーファスデンタルではこう見ています

 上記のようなことから、ルーファスデンタルでは「サベイライン上」をこの方向から見ています。
 サベイラインはもちろんですが、クラスプラインもテーパーラインもその数値の部分は歯冠に引かれるライン上(今回は断面なので点)だけで、その上もその下もすでに違う数値になっています
 目的の維持力を正確に確保するためには、「拮抗腕をどこに、どのように設置するか」を考えてみると良いと思います。


 今日は、ルーファスデンタルがサベイラインをどのように見ているかをお話ししました。次回もまた維持力について考えてみたいと思います。

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